相続専門の税理士が、相続の現場、税理士の仕事、AIと働くこと、暮らしのなかの税について書いています。
はじめに読むなら、この三本
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イータ君、牛乳になる
税理士の私が、このところ熱心に取り組んでいる研究がある。 税のキャラクター研究である。 とりわけ気になっているのが、国税庁のe-Taxキャラクター「イータ君」だ。 緑色の四角い顔に、緑色の手足。電子申告・納税システム「e-Tax」の広報キャラクターで... -
大人っぽい
「大切なお手続きをお任せいただきありがとうございました」 いま、ペン習字教室で練習している文章である。 相続税の申告を終えたお客様にお送りするお礼状の文面を、先生にお手本として書いていただいた。 そのお手本を見ていて、ふと気になるところがあ... -
相続税申告はユニクロではない
「ユニクロで服を買うのとは、ちょっと違うんですね」 相続税申告の初回面談で、私はときどきこんなことを言う。 初めて相続税申告を依頼する方にとって、税理士事務所選びは難しい。何を基準に選べばよいのかわからず、いくつかの事務所を回って見積もり... -
無料面談の前に
三通のメール 相続税申告について、オンラインでの初回無料面談の申し込みがあった。 事情はなかなか複雑そうだった。メールを三通やり取りしたのだが、どうにも相手の人物像が結ばれない。 一通読むたびに、別の人が書いているような気がするのだ。 最後... -
お茶の間は見た
有名人10人の人生と遺言書について、事務所のサイトに10本のシリーズ記事を書いた。 10人もいれば、人生いろいろである。 生涯独身で、猫をこよなく愛した向田邦子さん。再婚した小林亜星さん。長く別居しながら、とうとう離婚しなかった樹木希林さん。 吉... -
一日一組限定
一日一組限定。 こう書くと、なんだか高級旅館か隠れ家的なレストランのようだが、私の税理士事務所の話である。 相続税申告の初回面談は、原則として一日に一組しか受け付けていない。 面談の所要時間は、一時間程度とご案内している。あまり長くなると、... -
樹木希林マーケット
相続税理士として独立開業していると、税金の計算ばかりしているわけにはいかない。お客さんに自分の事務所を見つけてもらうための工夫も必要になる。 そこで私は、事務所のウェブサイトに「有名人の遺言」というシリーズを設けることにした。 取り上げる... -
1月1日に亡くなるということ
以前、1月1日に亡くなった方の相続税申告を、お手伝いさせていただいたことがあります。 相続の仕事をしていると、亡くなった方がその年に払うはずだった税金も確認します。 そのとき、不思議なことがありました。 住民税は、かかりませんでした。 でも、... -
亡くなったあとにも、住民税はかかる
相続の仕事をしていると、ときどき、ご家族からこんなことを聞かれます。 「もう亡くなっているのに、住民税を払うんですか?」 とくに年の前半に亡くなった方の場合、亡くなったときにはまだ、その年度の住民税の納税通知書が届いていないことがあります... -
タックス・タクちゃんの恋人は、なぜのうぜい・ノンちゃんなのか
この前、「簡易な接触」という言葉について記事を書きました。 「簡易な接触」にはいくつかの方法がありますが、私にいちばん馴染みがあるのが、「相続税の申告等についての御案内」です。 相続税の仕事をしていると、お客様のところにこの紙が届くことが...
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大人っぽい
「大切なお手続きをお任せいただきありがとうございました」 いま、ペン習字教室で練習している文章である。 相続税の申告を終えたお客様にお送りするお礼状の文面を、先生にお手本として書いていただいた。 そのお手本を見ていて、ふと気になるところがあ... -
相続税申告はユニクロではない
「ユニクロで服を買うのとは、ちょっと違うんですね」 相続税申告の初回面談で、私はときどきこんなことを言う。 初めて相続税申告を依頼する方にとって、税理士事務所選びは難しい。何を基準に選べばよいのかわからず、いくつかの事務所を回って見積もり... -
無料面談の前に
三通のメール 相続税申告について、オンラインでの初回無料面談の申し込みがあった。 事情はなかなか複雑そうだった。メールを三通やり取りしたのだが、どうにも相手の人物像が結ばれない。 一通読むたびに、別の人が書いているような気がするのだ。 最後... -
無人販売の柿──土地の記憶と小さな経済
朝、自転車で事務所へ向かう途中、小さな無人販売所がある。 ちょっと前まで梨が並んでいたように思うのだが、今日は柿になっていた。このところ忙しかったので、「ちょっと前」がいつだったのかは自信がない。 一袋300円。去年と同じ値段だ。 ああ、一年... -
税金があるとき、ないとき
税理士会の定期総会で退屈していた私は、いつの間にか、うんこ広場の中にいた。 前回は、そんなところで話が終わった。 財務省と文響社が共同で制作した「うんこ税金ドリル」。2021年11月に公開されたこの教材は、多くの反響を呼んだという。そこで財務省... -
お茶の間は見た
有名人10人の人生と遺言書について、事務所のサイトに10本のシリーズ記事を書いた。 10人もいれば、人生いろいろである。 生涯独身で、猫をこよなく愛した向田邦子さん。再婚した小林亜星さん。長く別居しながら、とうとう離婚しなかった樹木希林さん。 吉... -
一日一組限定
一日一組限定。 こう書くと、なんだか高級旅館か隠れ家的なレストランのようだが、私の税理士事務所の話である。 相続税申告の初回面談は、原則として一日に一組しか受け付けていない。 面談の所要時間は、一時間程度とご案内している。あまり長くなると、... -
尿漏れと申告漏れ
小学生のころ、学校のトイレが苦手だった。 当時、学校のトイレは和式だった。家では洋式トイレを使っていたので、私は和式トイレでうまく用を足すことができなかった。 ちゃんとしゃがんでいるつもりなのに、おしっこが便器の外に出てしまうのである。 本... -
樹木希林マーケット
相続税理士として独立開業していると、税金の計算ばかりしているわけにはいかない。お客さんに自分の事務所を見つけてもらうための工夫も必要になる。 そこで私は、事務所のウェブサイトに「有名人の遺言」というシリーズを設けることにした。 取り上げる... -
税理士になってよかった
さっき、「トイレ構文」という記事を書きました。 税務署から届く御案内の文章が、公共トイレの貼り紙に似ているというところから始まった記事です。 書いているうちに、「申告漏れ」と「尿漏れ」が似ていることに気づきました。 おや、どちらも漏れる。 ...
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ディスタンクシオン
先日、税理士会の合同研修会に参加した。その後の懇親会では、普段あまり接する機会のない、別の支部の税理士たちと同じテーブルになった。 斜め向かいに座った年配の先生が、私に話しかけてきた。 「お茶ですか、お花ですか」 何のことだかわからず、キョ... -
キネーシスとエネルゲイア
私は大学の教養学部を卒業した。 しかし、最近の教養の供給源は、もっぱらNHKの語学番組『Enjoy Simple English』である。 平日5分間、やさしい英語でさまざまな話を聞かせてくれる。10月から始まった木曜日のシリーズは「Answers from Philosophers」。哲... -
うんこ頭の少女
私は、日曜大工ならぬ「日曜研究者」である。 本業は税理士だが、かつては研究者を目指して、大学院で文化人類学を学んだことがある。 もともと、あれこれ考えることが好きなのだ。今でも身の回りの出来事を勝手に研究している。 最近の研究対象は、租税教... -
日曜研究者
SNSで華やかに活躍している、ある女性税理士がいる。 私はその人を、ひそかに「美人風税理士」と呼んでいた。 「美人税理士」ではない。「美人風税理士」である。 その人は、美人の文法を実によく心得ている。 写真の撮られ方、表情、服装、ポーズ。美人ら... -
税務署長の冒険
国税庁の税務大学校には、租税史料室という施設がある。 そのウェブサイトを眺めていたら、宮沢賢治の『税務署長の冒険』という作品が紹介されているのを見つけた。 宮沢賢治にこんな作品があるとは知らなかった。 改めて題名を眺めてみる。 税務署長の冒... -
税金があるとき、ないとき
税理士会の定期総会で退屈していた私は、いつの間にか、うんこ広場の中にいた。 前回は、そんなところで話が終わった。 財務省と文響社が共同で制作した「うんこ税金ドリル」。2021年11月に公開されたこの教材は、多くの反響を呼んだという。そこで財務省... -
演題は「未定」
私は東京地方税理士会の川崎西支部に所属している。 支部からは、研修会や行事などのお知らせがメールで届く。今日もその一通が届いた。 税務署長講演会の案内だった。 日時は決まっている。会場も決まっている。講師は川崎西税務署長。ところが、演題の欄... -
うんこ税理士
税理士会の定期総会は長い。 私は退屈していた。 スマホで租税教育について調べていたら、「うんこ×税」という文字が目に入った。 えっ、と思った。 調べてみると、うんこドリルと財務省のコラボレーションだった。 なんで、うんこ。 税理士の世界には、に... -
税理士になる門前で、二千円につまずく
かれこれ十年近く前、税理士登録をしたときのことです。税理士登録には、思っていた以上にたくさんの書類が必要でした。当時の私は、公認会計士有資格者として税理士登録をしようとしていました。会計士試験の合格証書、実務補習の修了証書、履歴書、誓約... -
北大路欣也の目
税理士会の研修に行くと、だいたい税理士がいます。当たり前です。ところがその日は、受付のあたりに、いつもとは少し違う人たちが混じっていました。髪型が違います。服装も違います。なぜか、体つきまで違って見えます。会計ソフトをつくるIT企業の人た...
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ひとごとを尽くして
朝から、メールボックスを開いている。 今日は、半年前から準備してきたことの、結果が出る日だ。 うまく次へ進むことになれば、連絡が来る。そうでなければ、何も来ない。 連絡が来るとしても、今日とはかぎらない。 それは分かっている。 机の上には、お... -
間違う力
AIについての文章を読んでいると、ときどき、整った答えを出すAIと、間違ったり寄り道したりする人間を対比する話に出会います。人間は不完全だからこそ面白い。間違うからこそ、予定になかった場所へ行ける。そういう見方もあるのだと思います。ただ、私... -
念のため
少し前、「手持ち無沙汰」という記事を書きました。AIが仕事をしているあいだ、ついYahoo!ニュースを開き、ヤフコメまで読んでしまう、という話です。念のため申し添えておきますが、いつもヤフコメを読んでいるわけではありません。だって、税理士ですか... -
手持ち無沙汰
最近、AIに仕事を手伝ってもらっています。AIに指示を出すと、そのあいだ私の手は空きます。待ち時間はそれほど長くありません。外へ出るほどでも、別の仕事を始めるほどでもない、中途半端な時間です。それで、ついYahoo!ニュースを開いて、何か面白い記... -
ハルシネーション
以下は、実際の原稿、会話ログ、複数のAIによる講評をもとに構成した法廷劇です。――法廷記者A9月3日、自分で書いた記事を読み返していた税理士Mが、一文の前で止まった。相談者は、椅子の足につかまりながら、床にしゃがみ込みました。Mには、そんなところ...
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税理士になってよかった
さっき、「トイレ構文」という記事を書きました。 税務署から届く御案内の文章が、公共トイレの貼り紙に似ているというところから始まった記事です。 書いているうちに、「申告漏れ」と「尿漏れ」が似ていることに気づきました。 おや、どちらも漏れる。 ... -
ピッピに憧れて
子どものころ、『長くつ下のピッピ』が好きでした。 ピッピは、大人の決めたルールにあまり頓着せず、自分のやり方で生きています。 とんでもなく力が強くて、物おじもしない、「世界一強い女の子」。 子どもの私には、そんな自由さがものすごく魅力的に見... -
教養の意味が、申告書ファイルを見ていてわかった
私は大学の教養学部で、文化人類学を専攻しました。所属していたのは、超域文化科学というところです。「超域」という、少し変わった名前がついていました。文化人類学を中心に学びながら、ほかの分野の授業も自由に取ることができました。教養学部には、...