障害福祉事業とは?
障害福祉事業とは、障害のある人や特定の難病のある人が、地域の中で生活を続けていけるよう支援するサービスをいいます。
自宅や施設で、介護や自立支援、就労支援などさまざまなサービスが提供されています。
障害者やその家族は自らに合ったサービスを選択し、障害福祉事業所と対等な関係で契約を結び、サービスを利用します。
利用者は利用料全額を支払う必要はありません。利用したサービス料金全体の1割のみを負担します。また所得に応じて9,300円や37,200円といった上限が設けられています。。
根拠となる法律とその理念
障害福祉事業の根拠となっているのが、以下の二つの法律です。
障害福祉事業の根拠法
・障害者総合支援法(18歳以上のサービスが対象)
・児童福祉法(18歳未満のサービスが対象)
障害者総合支援法の目的は、障害のある人が、個人としての尊厳にふさわしい日常生活や社会生活を営むことができるよう必要な支援を行い、障害者の福祉の充実化を図ること、そしてさらには、障害の有無にかかわらず、私たちすべてが、相互に人格と個性を尊重して安心して暮らすことができる地域社会の実現を後押しすることにあります。
児童福祉法でも同様に、すべての国民は、児童が心身共に健やかに生まれ、育つように努めなければならないとされ、またすべての児童はひとしくその生活を保障され、愛護されなければならないと冒頭に書かれています。
障害福祉事業を利用できる人
障害福祉事業の対象となるのは、次の4種類の人です。
・身体障害者(身体障害児)
・知的障害者(知的障害児)
・精神障害者(発達障害者と高次脳機能障害者を含む)
・難病疾患(法律で358の疾患が定められています)
障害福祉事業の特徴
障害福祉事業と他の通常の事業との最も大きな違いの一つは、
という点です。
公費は、国が50%、都道府県が25%、市町村が25%を負担します。
*障害福祉事業のサービス報酬(事業収入)=利用者自己負担(所得に応じた負担)+給付金
国民から集めた大切なお金が使われるので、誰でも自由にやってよしというわけにはいきません。
障害福祉事業では許可のことを指定といい、許可を与える都道府県または市町村のことを指定権者といいます。
障害福祉事業サポートでの開業をお考えの方にとっては、指定の申請が最初の関門となります。
指定を受けるには、事業の場所・設備・人について、厳しい要件を満たさなくてはなりません。
要件を満たしている必要があるのはもちろんのこと、要件を満たしていることを示すための大量の書類の提出が求められます。
ちなみに、障害福祉サービスとよく似たサービスに介護サービスがあります。
どちらも福祉サービスである点では同じですが、根拠となる法律が異なっており、法律上は明確に区別されます。
[障害福祉サービスと介護保険サービスの主な違い]
障害福祉サービス | 介護保険サービス | |
根拠となる法律 | ・障害者総合支援法
・児童福祉法 |
・介護保険法 |
利用者の年齢 | 主に65歳未満 | 65歳以上 |
収益 | 公費と利用者の自己負担額 | 公費、介護保険料、利用者の自己負担額 |
障害福祉制度を取り巻く状況*
*本項でのデータの情報源:障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 資料
障害者の数
日本の障害者の数は964万人(身体障害者436万人、知的障害者109万人、精神障害者419万人)
日本の全人口に占める障害者の割合は約7.6%です。障害者の数は近年、増加傾向にあります。
障害福祉産業の動向
障害福祉サービス関連の予算額は平成19年から令和2年にかけて、約3倍に増加しました。
それに伴い、障害福祉サービスと障害児サービスの利用者の数、障害福祉施設で働く人の数も倍増しています。