相続専門の税理士が、相続の現場、税理士の仕事、AIと働くこと、暮らしのなかの税について書いています。
はじめに読むなら、この三本
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お茶の間は見た
有名人10人の人生と遺言書について、事務所のサイトに10本のシリーズ記事を書いた。 10人もいれば、人生いろいろである。 生涯独身で、猫をこよなく愛した向田邦子さん。再婚した小林亜星さん。長く別居しながら、とうとう離婚しなかった樹木希林さん。 吉... -
一日一組限定
一日一組限定。 こう書くと、なんだか高級旅館か隠れ家的なレストランのようだが、私の税理士事務所の話である。 相続税申告の初回面談は、原則として一日に一組しか受け付けていない。 面談の所要時間は、一時間程度とご案内している。あまり長くなると、... -
樹木希林マーケット
相続税理士として独立開業していると、税金の計算ばかりしているわけにはいかない。お客さんに自分の事務所を見つけてもらうための工夫も必要になる。 そこで私は、事務所のウェブサイトに「有名人の遺言」というシリーズを設けることにした。 取り上げる... -
1月1日に亡くなるということ
以前、1月1日に亡くなった方の相続税申告を、お手伝いさせていただいたことがあります。 相続の仕事をしていると、亡くなった方がその年に払うはずだった税金も確認します。 そのとき、不思議なことがありました。 住民税は、かかりませんでした。 でも、... -
亡くなったあとにも、住民税はかかる
相続の仕事をしていると、ときどき、ご家族からこんなことを聞かれます。 「もう亡くなっているのに、住民税を払うんですか?」 とくに年の前半に亡くなった方の場合、亡くなったときにはまだ、その年度の住民税の納税通知書が届いていないことがあります... -
タックス・タクちゃんの恋人は、なぜのうぜい・ノンちゃんなのか
この前、「簡易な接触」という言葉について記事を書きました。 「簡易な接触」にはいくつかの方法がありますが、私にいちばん馴染みがあるのが、「相続税の申告等についての御案内」です。 相続税の仕事をしていると、お客様のところにこの紙が届くことが... -
外書きされる人たち
相続税を専門にしているので、国税庁が毎年公表する「相続税の申告事績」は、毎年気にして見ています。 令和6年分の資料を開くと、最初のページに大きな表があります。 課税割合は10.4%。相続税額のある申告書の提出に係る被相続人数は、16万6,730人です... -
税務署が、ちょんとタッチする
相続税について、「簡易な接触」が増えている、という記事を読みました。 令和6事務年度の件数は2万件を超え、前事務年度より17%増えたそうです。 「簡易な接触」という言葉自体は、前から知っていました。 その記事には、会計事務所としてはこれを軽く扱... -
税務署は知っている
ある日、税務署から郵便物が届きました。 亡くなった父の相続について、と書いてあります。 相続税の申告が必要ではありませんか。 そんな内容でした。 家族は、少し気味が悪くなりました。 どうして税務署が、父が亡くなったことを知っているのでしょう。... -
口座凍結スイッチ
夫が亡くなった。 妻は市役所へ行き、死亡届を出した。 窓口の職員は書類を受け取ると、内容を確認した。 「はい。確かに受理しました」 妻が去ったあと、職員は机の下に手を伸ばした。 そこには、小さな赤いスイッチがある。 カチッ。 信号は、市役所から...
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税金があるとき、ないとき
税理士会の定期総会で退屈していた私は、いつの間にか、うんこ広場の中にいた。 前回は、そんなところで話が終わった。 財務省と文響社が共同で制作した「うんこ税金ドリル」。2021年11月に公開されたこの教材は、多くの反響を呼んだという。そこで財務省... -
お茶の間は見た
有名人10人の人生と遺言書について、事務所のサイトに10本のシリーズ記事を書いた。 10人もいれば、人生いろいろである。 生涯独身で、猫をこよなく愛した向田邦子さん。再婚した小林亜星さん。長く別居しながら、とうとう離婚しなかった樹木希林さん。 吉... -
一日一組限定
一日一組限定。 こう書くと、なんだか高級旅館か隠れ家的なレストランのようだが、私の税理士事務所の話である。 相続税申告の初回面談は、原則として一日に一組しか受け付けていない。 面談の所要時間は、一時間程度とご案内している。あまり長くなると、... -
尿漏れと申告漏れ
小学生のころ、学校のトイレが苦手だった。 当時、学校のトイレは和式だった。家では洋式トイレを使っていたので、私は和式トイレでうまく用を足すことができなかった。 ちゃんとしゃがんでいるつもりなのに、おしっこが便器の外に出てしまうのである。 本... -
樹木希林マーケット
相続税理士として独立開業していると、税金の計算ばかりしているわけにはいかない。お客さんに自分の事務所を見つけてもらうための工夫も必要になる。 そこで私は、事務所のウェブサイトに「有名人の遺言」というシリーズを設けることにした。 取り上げる... -
税理士になってよかった
さっき、「トイレ構文」という記事を書きました。 税務署から届く御案内の文章が、公共トイレの貼り紙に似ているというところから始まった記事です。 書いているうちに、「申告漏れ」と「尿漏れ」が似ていることに気づきました。 おや、どちらも漏れる。 ... -
トイレ構文
相続税の仕事をしていると、お客様のところに「相続税の申告等についての御案内」という紙が届くことがあります。 この御案内には、冒頭にこんな一文があります。 税務行政につきましては、日頃から御協力をいただきありがとうございます。 それを読んだと... -
税理士事務所の小さな怪談
私の税理士事務所は、小さなワンルームマンションの一室にあります。 玄関の靴箱の上には、三つのものを置いています。金継ぎの器と、白いアロマストーンと、キャンドルポットです。 相続のご相談にいらした方は、事務所に入ってくるときには、たいてい何... -
着想は着丼する
最近、私は何かに取り憑かれたように文章を書いている。 少し前に、税理士事務所のサイトとは別に、エッセイサイトを作った。 税理士事務所にも載せられるものは、そちらにも載せる。そうでないものは、エッセイサイトに載せる。 書いたものの行き先が二つ... -
手書き風と手書きは違う
以前、領収書をやめたら、なぜかペン習字を習うようになった、という記事を書きました。 その後も、二週間に一度、ペン習字に通っています。 先日、仕事で使っているお礼状の文章を、先生にお手本にしてもらうことにしました。 書きたいのは、こんな文章で...
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税務署長の冒険
国税庁の税務大学校には、租税史料室という施設がある。 そのウェブサイトを眺めていたら、宮沢賢治の『税務署長の冒険』という作品が紹介されているのを見つけた。 宮沢賢治にこんな作品があるとは知らなかった。 改めて題名を眺めてみる。 税務署長の冒... -
税金があるとき、ないとき
税理士会の定期総会で退屈していた私は、いつの間にか、うんこ広場の中にいた。 前回は、そんなところで話が終わった。 財務省と文響社が共同で制作した「うんこ税金ドリル」。2021年11月に公開されたこの教材は、多くの反響を呼んだという。そこで財務省... -
演題は「未定」
私は東京地方税理士会の川崎西支部に所属している。 支部からは、研修会や行事などのお知らせがメールで届く。今日もその一通が届いた。 税務署長講演会の案内だった。 日時は決まっている。会場も決まっている。講師は川崎西税務署長。ところが、演題の欄... -
うんこ税理士
税理士会の定期総会は長い。 私は退屈していた。 スマホで租税教育について調べていたら、「うんこ×税」という文字が目に入った。 えっ、と思った。 調べてみると、うんこドリルと財務省のコラボレーションだった。 なんで、うんこ。 税理士の世界には、に... -
税理士になる門前で、二千円につまずく
かれこれ十年近く前、税理士登録をしたときのことです。税理士登録には、思っていた以上にたくさんの書類が必要でした。当時の私は、公認会計士有資格者として税理士登録をしようとしていました。会計士試験の合格証書、実務補習の修了証書、履歴書、誓約... -
北大路欣也の目
税理士会の研修に行くと、だいたい税理士がいます。当たり前です。ところがその日は、受付のあたりに、いつもとは少し違う人たちが混じっていました。髪型が違います。服装も違います。なぜか、体つきまで違って見えます。会計ソフトをつくるIT企業の人た... -
AI研修の夜に
税理士会のAI研修に行ってきました。私は研修部員なので、その日は会務で受付をしていました。研修が始まる前、研修部の皆さんと受付に座っていました。少し暇だったので、右隣の先生に、最近、紙を束ねる道具と、それを外す道具に凝っている、という話を... -
税理士界
芸能界。財界。政界。税理士界。あれ。最後の一つ、知らないですよね。でも、あります。私たち税理士のところには、その名も『税理士界』という新聞が届きます。日本税理士会連合会が発行している、税理士のための新聞です。私は税理士になるまで、「税理...
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ひとごとを尽くして
朝から、メールボックスを開いている。 今日は、半年前から準備してきたことの、結果が出る日だ。 うまく次へ進むことになれば、連絡が来る。そうでなければ、何も来ない。 連絡が来るとしても、今日とはかぎらない。 それは分かっている。 机の上には、お... -
間違う力
AIについての文章を読んでいると、ときどき、整った答えを出すAIと、間違ったり寄り道したりする人間を対比する話に出会います。人間は不完全だからこそ面白い。間違うからこそ、予定になかった場所へ行ける。そういう見方もあるのだと思います。ただ、私... -
念のため
少し前、「手持ち無沙汰」という記事を書きました。AIが仕事をしているあいだ、ついYahoo!ニュースを開き、ヤフコメまで読んでしまう、という話です。念のため申し添えておきますが、いつもヤフコメを読んでいるわけではありません。だって、税理士ですか... -
手持ち無沙汰
最近、AIに仕事を手伝ってもらっています。AIに指示を出すと、そのあいだ私の手は空きます。待ち時間はそれほど長くありません。外へ出るほどでも、別の仕事を始めるほどでもない、中途半端な時間です。それで、ついYahoo!ニュースを開いて、何か面白い記... -
ハルシネーション
以下は、実際の原稿、会話ログ、複数のAIによる講評をもとに構成した法廷劇です。――法廷記者A9月3日、自分で書いた記事を読み返していた税理士Mが、一文の前で止まった。相談者は、椅子の足につかまりながら、床にしゃがみ込みました。Mには、そんなところ...
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税理士になってよかった
さっき、「トイレ構文」という記事を書きました。 税務署から届く御案内の文章が、公共トイレの貼り紙に似ているというところから始まった記事です。 書いているうちに、「申告漏れ」と「尿漏れ」が似ていることに気づきました。 おや、どちらも漏れる。 ... -
ピッピに憧れて
子どものころ、『長くつ下のピッピ』が好きでした。 ピッピは、大人の決めたルールにあまり頓着せず、自分のやり方で生きています。 とんでもなく力が強くて、物おじもしない、「世界一強い女の子」。 子どもの私には、そんな自由さがものすごく魅力的に見... -
教養の意味が、申告書ファイルを見ていてわかった
私は大学の教養学部で、文化人類学を専攻しました。所属していたのは、超域文化科学というところです。「超域」という、少し変わった名前がついていました。文化人類学を中心に学びながら、ほかの分野の授業も自由に取ることができました。教養学部には、...