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最後の忘れ物
相続の仕事をしていると、ときどき地方銀行の通帳が出てきます。亡くなった方が、昔住んでいた土地や転勤先で作った口座です。その土地を離れて何年もたち、口座だけが残っている。長く使われていないので、ご家族も残高を知りません。「たぶん、ほとんど... -
ハルシネーション
以下は、実際の原稿、会話ログ、複数のAIによる講評をもとに構成した法廷劇です。――法廷記者A9月3日、自分で書いた記事を読み返していた税理士Mが、一文の前で止まった。相談者は、椅子の足につかまりながら、床にしゃがみ込みました。Mには、そんなところ... -
ホッチポンと、はりトルPRO
ホッチキスには、たいていお尻のところに、針を外すための爪がついています。たいていの人は、それで十分なのだと思います。私も、昔はそうでした。監査法人に入ったとき、新人に一つずつホッチキスが配られました。MAXのものでした。同期の子が、「MAXは... -
三人目の専門家
以前、アメリカ人の英会話の先生に、私の仕事の話をしたことがあります。相続を専門にしている税理士です、と話すと、その先生は言いました。人生には、自分だけでは手に負えないことがある。だから、専門家が必要なんだ、と。医者。弁護士。そして、お金... -
AI研修の夜に
税理士会のAI研修に行ってきました。私は研修部員なので、その日は会務で受付をしていました。研修が始まる前、研修部の皆さんと受付に座っていました。少し暇だったので、右隣の先生に、最近、紙を束ねる道具と、それを外す道具に凝っている、という話を... -
税理士ちまちま日記
最近、『税務署員うつうつ日記』という本が出たと知りました。あのシリーズには、「ヨレヨレ」「ぐだぐだ」「おどおど」「ばたばた」「うつうつ」みたいな、ちょっと情けなくて、でも妙にその職業らしい四文字がついています。では、もし税理士編があった... -
税理士界
芸能界。財界。政界。税理士界。あれ。最後の一つ、知らないですよね。でも、あります。私たち税理士のところには、その名も『税理士界』という新聞が届きます。日本税理士会連合会が発行している、税理士のための新聞です。私は税理士になるまで、「税理... -
教養の意味が、申告書ファイルを見ていてわかった
私は大学の教養学部で、文化人類学を専攻しました。所属していたのは、超域文化科学というところです。「超域」という、少し変わった名前がついていました。文化人類学を中心に学びながら、ほかの分野の授業も自由に取ることができました。教養学部には、...