先日、AIと、ある介護給付の話をしていました。
金額は7万円ほど。
するとAIが、
「それが死亡前のものか、死亡後のものか、確認したほうがいいですね」
と言いました。
「あなた、常識ないね」
私は思わず、音声入力でそう言って、そのまま送信しました。
亡くなった人に、介護サービスが提供されるわけがありません。
やれやれ。
……
でも待てよ。
病院の最後の領収書が、頭に浮かびました。
相続税の申告では、亡くなった方の病院の領収書をお預かりすることがあります。
たとえば、亡くなるまで入院していた方の、最後の一枚。
そこには、亡くなるまでの入院費と、亡くなったあとに作成された死亡診断書などの文書作成料が、一緒に載っていることがあります。
同じ病院が出した、同じ一枚の領収書です。
でも、相続税の申告では、同じようには扱いません。
入院費は、未払い医療費として。
死亡診断書などの文書作成料は、葬式費用として。
きちんと分けます。
介護サービスは、死者には提供されない。
でも、死亡診断書は、死者について作られる。
医療でこういう区別があるのなら、介護にも何かあるのかもしれない。
ついさっきまでAIに「常識ないね」と言っていたのに、今度は自分の常識のほうが心配になってきました。
介護給付の取扱いを、もう一度調べました。
最初の判断で大丈夫でした。
ほっと、胸をなで下ろしました。
相続税の仕事を始めたころ、私はこういう細かい区別を、わりとどうでもいいと思っていました。
だって、税額は変わらないのです。
こっちに入れようが、あっちに入れようが、納める税金は同じです。
細かいなあ。
そう思っていました。
でも、5年、6年と仕事をしているうちに、申告書の見え方が変わりました。
申告書は、ぺらっと一枚で存在しているわけではない。
その下には、国税庁のQ&Aがあり、通達があり、さらに法律があります。
そういうものが何層にも重なって、そのいちばん上に申告書が載っている。
いつのころからか、そういうふうに考えるようになりました。
この数字を、なぜここに入れるのか。
たどっていくと、ときどき、
ああ、だからここで分けるのか。
と思うことがあります。
亡くなるまでに、その人が受けたサービス。
その人が亡くなったことによって必要になったサービス。
同じ一枚の領収書に載っている数字でも、その下にあるものは違います。
仕事を始めたころには、そんなふうには考えていませんでした。
今日も、相続人の方からお預かりした病院の領収書をめくります。
亡くなるまでの入院費にまじって、死亡診断書などの文書作成料が載っています。
数千円から一万円、高くてもせいぜい二万円ほどの金額です。
そこだけを抜き出します。
こちらは未払い医療費。
こちらは葬式費用。
それぞれ、相続税のソフトの決められた場所に入れていきます。
今日もちまちまと。

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